美しい建築を確かな技術力で実現します
ケルン大聖堂

ドイツ旅-ケルン大聖堂

書評の執筆依頼を受けまして、書籍の世界に入り込んでいるこの頃です。

冒頭に、編者が書かれていたように‘エンターテイメント’となっていてとても面白く、書評をきっかけに歴史の‘楽しみ方’を教えてもらいました。

一つ一つのことが自分を成長させてくれますね。全てのことが設計につながる・・・いい仕事です。

何をおいても、建築の理解を深める手がかりは自分が訪れた建築です。

今回のドイツ旅のスタートはケルンからでした。

ケルン駅は、屋根全体がガラス+鉄フレームになっていて列車を降りた時から大聖堂がちらりと視界に入ります。

ガラス屋根のケルン駅

最初に見たのは、ゴシック建築の重鎮で有名な世界遺産のひとつ、ケルン大聖堂。ケルン駅を出ると目の前に、その大聖堂は現れます。

 

駅広場から見える姿

今まで、ゴシック建築にデザイン的興味を全くというほど持っていなかったのですが、そういうのとは別次元で面白いと感じる点に気づきました。

建築史でいう所の、盛期ゴシック建築のフランス式(アミアン式)を輸入した様式で統一されています。

ほぼ平面形態はアミアン大聖堂と同じなのだけど、部分的に1スパン多かったりしているのがケルン大聖堂です。

気になる構造は、現代のコンクリート造のようなもの。表面仕上げは石造りで内部は、小さな石に石灰と水を混ぜたものが流し込まれています。

 

人の手に触れるあたりにある、とても太い構造体と、天井近くに輝くステンドグラスの嵌め込まれた細い構造(トレサリー)の対比が圧倒的なインパクトを与えています。

このステンドグラスは初期には石板に穴を開けているだけだったものが、細かな部材を組み合わせた繊細な構造に徐々に変化していきました。

大聖堂内部
天井見上げ

フランスからドイツなどへと流れたゴシック建築ですが、改めて着工時期を見ると時代の流れを追うことができます。

パリ大聖堂   着工1163-1250竣工

アミアン大聖堂   1220-1410

ケルン大聖堂    1248-1880

ミラノ大聖堂    1386-1813
(デュオモ)

工事期間外までは想像できないほど長く、竣工時期を見ると新旧見誤りそうなこともあります。アミアン大聖堂の竣工時期とケルン大聖堂の着工時期が重なったりもしているんですよね。

建築史の資料などでは、ケルン大聖堂は鐘楼の高さを特徴的に書かれています。

左の写真で手前と奥の2本、高く聳えているのが鐘楼です。

地上157m、現在でいうところの、38階建のオフィスビルくらいの高さです。

鐘楼側ファサード

ツイン鐘楼の間に、身廊(廊下)が挟まれていてプロポーションが悪いとさえかかれている資料もあります。

その鐘楼の内部は、幅90cmあるかどうかの螺旋階段になっていて、外観で見るよりもかなり狭くすれ違うのは困難なほどです。

この印象の差が「壁の厚さ」を示しているんですね。

オチとしては、今回その鐘楼ではぐれちゃいました。私の体力が途中で持たず・・・ちょっと休憩している間に。

高い建築のてっぺんで逸れる事件は、NYエンパイヤステートビルに続き2回目です。