
ドイツ旅-シュツットガルト
フランクフルトから列車で1時間半ほど行くと、シュツットガルト中央駅に到着します。
最初に降り立つこの駅自体もドイツ表現主義の始まりの時期、1913-27に建てられた歴史的建築物です。
改めて見ると確かに、化粧積みレンガによる表現主義の特徴が出ています。
開口部が少なく、薄暗い印象のなんだか古めかしい駅だな・・・という印象。

ドイツ工作連盟が全体構成をミースに依頼し、施設の設計はミース含めた17人の建築家が手がけています。
そして今ではすっかり有名な、建築家達の直筆サインがすらり!!!

戦禍で壊れてしまった建築もあり、現在全てを見ることは出来ませんが、
ハンスシャロンの設計した局面壁の住宅と、
ブルーノタウトのガラスブロックを使った住宅(現存せず)を除き、
他は無装飾で白い平滑な壁面による箱型の形態となっています。
近代建築の特徴を複数の実物を見ながら理解することが出来ます。


ル・コルビジェのここでの住宅は、有名な新しい建築の5原則(ピロティ・屋上庭園・横長窓・自由なファサード・自由な平面)を明文化したものとなりました。
ちなみにこの住宅が建築された1927年というのは、ラロッシュ・ジャンヌレ邸より後でサヴォア邸より前という時期です。

ヴァイセンホーフジードルンクは、サヴォア邸(ポワシー)、ラロッシュ・ジャンヌレ邸(パリ)などよりもスペースのつくりが狭く、使っている材料も最低限の仕様です。
質素な設えの量産住宅・実験住宅が先で、裕福な住宅が後ということで時代の前後関係を肌で感じ取れます。
コルビジェの建築に関しては、世界遺産登録されるタイミングで各国の作品は修復され、塗装色も当時のものを再現して塗り直されています。当時の姿に近い状態で、目にすることが出来ます。
20数年前の大学生の時にサヴォア邸に訪れた時は、ちょうど長い修復工事が始まったばかりで柵越しにしか見れませんでした。
思い返すと1997年ごろは、近代建築史が再注目されている時期だったんですよね。
「近代都市と芸術展」が行われたり、新建築社から「建築20世紀」という2冊組の建築の歴史・写真集が発刊されたり、近代建築史の本が発売されたりしていました。